こんにちは、ユキです。
6月といえば、梅雨の季節。
しっとりとした雨の風情や、紫陽花の彩りが美しい時期ですね。
ビジネスでもプライベートでも、季節を感じる時候の挨拶を取り入れることで、相手への気遣いや心配りが伝わり、印象がぐっと良くなります。
この記事では、6月の時候の挨拶を「ビジネス向け」「カジュアル向け」に分けて、具体的な例文とともにご紹介します。
さらに、俳句の季語を活かしたオリジナル表現も掲載!
いつもの挨拶にひと工夫を加えたい方や、他とは違う洗練された表現を探している方にぴったりの内容です。
読み終わる頃には、あなたも6月らしい魅力的な挨拶文が作れるようになっているはずです。
ぜひ最後までチェックしてくださいね!
手紙の書き方
手紙の基本的な構成は次のとおりです。
①前文:「拝啓」などの頭語 ⇒ 時候の挨拶 ⇒ 相手の安否や健康を気遣うことばやお礼など ⇒ 自分の近況など
②主文:手紙の目的・用件など
③末文:結びの挨拶(相手の健康や無事を祈ることばや用件をまとめたことば) ⇒「敬具」などの頭語に呼応した結語
④後付:日付 ⇒ 差出人 ⇒ 宛名
この記事では、前文の時候の挨拶と末文の結びの挨拶の例文をご紹介します。

6月の時候の挨拶例文:ビジネスの手紙やメール向け
時候の挨拶には、フォーマルな表現の「漢語調」と柔らかい表現の「口語調」があります。
ビジネスシーンでは漢語調の時候の挨拶を使うのが一般的ですが、親しくしている取引先には堅苦しいイメージを与えますので、相手によっては口語調を使った方が良い場合もあります。

6月上旬の時候の挨拶
漢語調(向夏の候、梅雨入りの候、初夏の候)
・向夏の候、貴社益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます。
・梅雨入りの候、貴社におかれましては変わらずご発展のことと存じます。
・初夏の候、貴社の皆様にはますますご活躍のことと拝察いたします。
口語調
・梅雨入りが近づいてまいりましたが、貴社におかれましてはご隆盛のことと拝察申し上げます。
・初夏の風が心地よく感じられる季節となりました。貴社のますますのご繁栄をお慶び申し上げます。
・雨に濡れた紫陽花が美しく映える頃、貴社の皆様にはご健勝にお過ごしのことと存じます。
6月中旬の時候の挨拶
漢語調(入梅の候、長雨の候、湿暑の候)
・入梅の候、貴社の皆様にはご健勝にお過ごしのことと存じます。
・長雨の候、貴社のますますのご繁栄をお祈り申し上げます。
・湿暑の候、貴社の皆様におかれましては引き続きご活躍のことと存じます。
口語調
・長雨が続く季節となりましたが、貴社におかれましては引き続きご活躍のことと拝察いたします。
・しっとりと雨に包まれる日々ですが、貴社の皆様には変わらずご健勝のこととお慶び申し上げます。
・紫陽花が色鮮やかに咲く頃、貴社の益々のご発展を心よりお慶び申し上げます。
6月下旬の時候の挨拶
漢語調(夏至の候、小夏の候、向暑の候)
・夏至の候、貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
・小夏の候、貴社の皆様におかれましてはご健勝のことと存じます。
・向暑の候、貴社の一層のご発展を心よりお慶び申し上げます。
口語調
・夏至を迎え、日差しの力強さを感じる頃となりました。貴社のますますのご発展をお慶び申し上げます。
・梅雨の晴れ間に夏の訪れを感じる頃となりました。貴社の皆様におかれましては、ご健勝のことと存じます。
・蒸し暑い日が増えてまいりましたが、貴社ますますのご繁栄のことと拝察申し上げます。
6月に使える結びの挨拶例文:ビジネスの手紙やメール向け
ビジネスシーンでの結びの挨拶では、今後の良好なおつきあいのお願い、相手の繁栄や健康を祈る内容にします。

季節に関係なく使える結びの挨拶
・今後ともご指導ご鞭撻くださいますようお願い申し上げます。
・引き続きご高配を賜りますようお願いいたします。
・貴社益々のご繁栄を心からお祈り申し上げます。
・貴社のご発展と皆様のご健勝をお祈りいたします。
・時候不順の折柄何卒ご自愛くださいますようお願い申し上げます。
・これからも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
6月上旬の結びの挨拶
・季節の変わり目につき、ご自愛のうえお過ごしください。
・初夏の爽やかな風を感じるこの頃、貴社のさらなるご発展をお祈り申し上げます。
・梅雨入り前の不安定な天候が続きますが、どうぞご健康にはお気をつけください。
6月中旬の結びの挨拶
・長雨の折、くれぐれもご自愛のほどお願い申し上げます。
・紫陽花が色鮮やかに咲く季節、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
・湿気の多い時期が続きますが、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
6月下旬の結びの挨拶
・これから暑さが本格化してまいりますので、どうぞご自愛のうえご活躍ください。
・梅雨明けが待たれる時節、貴社の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
・蒸し暑い日が続きますが、くれぐれもご無理なさらずお過ごしくださいませ。
6月の時候の挨拶例文:カジュアル(プライベート)な手紙やメール向け
ビジネス編でご紹介しました口語調の挨拶をカジュアルな手紙やメールでも使えますが、親しい相手にはもう少し柔らかい感じの方が良いと思います。

6月上旬の時候の挨拶
・いよいよ夏が近づいてきましたね。お元気にお過ごしでしょうか?
・梅雨の足音が聞こえる季節となりましたが、変わらずお元気ですか?
・街の紫陽花が色づき始めましたが、いかがお過ごしでしょうか。
6月中旬の時候の挨拶
・梅雨空が続きますが、お変わりなくお過ごしですか?
・紫陽花が満開を迎え、梅雨本番といった空模様ですが、お元気でしょうか。
・しっとりとした雨に濡れる緑が美しい季節になりました。いかがお過ごしでしょうか。
6月下旬の時候の挨拶
・梅雨の晴れ間に夏の訪れを感じるようになりましたね。お元気でお過ごしでしょうか?
・いよいよ夏の足音が聞こえてきますが、お変わりありませんか。
・晴れ間が待ち遠しいこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。
6月に使える結びの挨拶例文:カジュアル(プライベート)な手紙やメール向け
相手の健康のことなどを気遣う文章になります。

6月上旬の結びの挨拶
・雨に濡れた紫陽花の美しさを楽しみつつ、心穏やかにお過ごしください。
・梅雨冷えの日もありますので、体調管理には気をつけてお過ごしくださいね。
・じめじめした日が続きますが、気分を上げて乗り切りましょう!
6月中旬の結びの挨拶
・しっとりとした季節ですが、雨の日ならではの楽しみを見つけてみてくださいね。
・湿気の多い時期ですが、どうかお身体に気をつけてお過ごしください。
・紫陽花が綺麗な季節、雨音を楽しみながらリラックスできますように。
6月下旬の結びの挨拶
・蒸し暑さが増してきますので、どうかご無理なさらずお過ごしください。
・もうすぐ夏本番ですね!体調を崩さぬよう、お気をつけください。
・晴れ間が待ち遠しい季節、夏の訪れを楽しみに過ごしましょう!
感じたことを表現した時候の挨拶:季語を用いて作ってみよう
これまでは一般的な時候の挨拶をご紹介しましたが、自分が感じたことを表現した時候の挨拶も、オリジナリティーがあって受け手に好印象を与えるのではないでしょうか。
私は秘書業務で手紙の文面を作成する時に、一般的な時候の挨拶では物足りなくなり、俳句の季語を入れて季節感をだすようにし、自分が感じたことを表現するようにしました。
皆さんも季語を使ってオリジナルの表現にチャレンジしてみませんか。
以下に季語を使った独創的な時候の挨拶の例文をご紹介させていただきますので、もし気に入っていただけましたらそのまま使ってください。
季語を使った独創的な6月の時候の挨拶
・紫陽花が雨に濡れて輝いていますが、○○さんも輝いていますか?
・雨蛙が恵みの雨を降して有頂天で鳴いていますが、お元気にお過ごしでしょうか。
・曇天を破るように葵が伸びていますが、いかがお過ごしでしょうか。
・幸せをぎゅうぎゅう詰めにしたようなサクランボが店頭に並んでいますが、お元気にお過ごしでしょうか。
・杜若が水明かりにしっとりと咲いていますが、恙なくお過ごしでしょうか。
・青梅に梅酒作りを誘われていますが、○○さんも楽しいことをされていますでしょうか。
・蝸牛が雨のエネルギーで元気に這っていますが、皆さんお元気のことと嬉しく思います。
・綺麗な虹に心を和ませていますが、穏やかにお過ごしでしょうか。
6月の時候の挨拶の注意点
6月の時候の挨拶を書く際には、次のことを気に留めていただければと思います。
6月は梅雨の時期にあたるため、爽やかすぎる表現や乾燥した季節を思わせる表現は避けたほうがよいです。
誤: 「爽やかな青空が広がる季節ですね。」(梅雨の時期には不自然)
正: 「梅雨空の合間に覗く青空が嬉しい季節ですね。」
ポイント: 6月は雨の多い時期なので、天候に関する表現は注意が必要です。
6月は確かに蒸し暑さを感じる日が増えますが、「猛暑」や「炎暑」など、真夏を思わせる表現は時期尚早です。
誤: 「炎暑の折、どうぞご自愛ください。」(炎暑は真夏の表現)
正: 「蒸し暑さを感じる日も増えてまいりましたが、どうぞご自愛ください。」
ポイント: 「向暑」「蒸し暑さ」など、6月らしい表現を使いましょう。
梅雨は雨が続く季節ですが、「じめじめして不快」「うっとうしい季節ですね」など、ネガティブな表現は避けましょう。
誤: 「梅雨に入り、憂鬱な日が続きますね。」(気分が沈む表現)
正: 「紫陽花が美しく色づく季節となりましたね。」
ポイント: 梅雨の魅力(紫陽花・蛍・雨の情緒など)を前向きに表現すると好印象です。
参考:6月の俳句の季語
前述のように、俳句の季語を使うと手紙の挨拶に季節感を与えますので、季語と時候の挨拶とは密接な関係があります。
6月の俳句の季語を一部ご紹介しますので、季語を理解してより深い表現をするための参考にしてください。

1.時候(季節や気候を表す季語)
・夏至(げし)
一年で最も昼が長くなる日(6月21日か22日)
・梅雨(つゆ)
雨の多い季節
・梅雨寒(つゆざむ)
梅雨時のひんやりとした気候
・五月雨(さみだれ)
旧暦5月(現在の6月頃)の長雨
・湿暑(しっしょ)
湿気の多い暑さ
2.天文(空や天体、天候の様子を表す季語)
・梅雨晴れ(つゆばれ)
梅雨の合間の晴れ間
・黒南風(くろはえ)
暗くどんよりとした梅雨の長雨が続く時期に吹く湿った南風のこと
・雷雨(らいう)
夏の訪れを告げる雷を伴う雨
・虹(にじ)
梅雨の合間に見られることが多い
・五月晴(さつきばれ)
もともとは梅雨の時期の晴天のことで、陽暦5月のさわやかな晴天とは意味を異にする
3.地理(風景や土地にまつわる季語)
・植田(うえた)
田植を終えてまもない田
・出水(でみず)
梅雨どきの集中豪雨によって河川の水かさが増し氾濫すること
・井水増す(いみずます)
梅雨の頃の水かさが増えた井戸のこと
・五月富士(さつきふじ)
陰暦5月(陽暦6月)、雪も消えて夏の大地に悠然と聳え立った富士山
・皐月波(さつきなみ)
陰暦5月(陽暦6月)頃の海に立つ波
4.生活(年中行事や暮らしの中の季語)
・田植(たうえ)
苗代で育てた早苗を代田に植えること
・父の日(ちちのひ)
6月の第3日曜日
・夏座敷(なつざしき)
風を通すように工夫された夏の室内
・葛餅(くずもち)
夏の涼菓
・浴衣(ゆかた)
夏の軽装
5.動植物(草花や動物にまつわる季語)
植物
・紫陽花(あじさい)
梅雨時に咲く花
・花菖蒲(はなしょうぶ)
6月に美しく咲く花
・夏萩(なつはぎ)
夏に咲く萩
・青梅(あおうめ)
熟す前の青い梅の実
・葵(あおい)
高さは2メートルほどで、6月から7月にかけて、葉腋に短い花柄を持った大きな花を下から順に咲きのぼる
・杜若(かきつばた)
5~6月ごろ池や沼などの水辺に咲き、形はあやめを少し大きくした感じである
・桜桃の実(おうとうのみ)
一般にさくらんぼと呼ばれている
動物
・蝸牛(かたつむり)
渦巻き状の薄い殻、伸縮自在の柔らかな体で、二本の角を出し木や草をゆっくりと這う
・蛍(ほたる)
夏の夜、水辺で冷たい光を明滅させながら集団で飛び交う昆虫
・水馬(あめんぼ)
水面を滑る昆虫
・沢蟹(さわがに)
梅雨の時期に活発になる川のカニ
・雨蛙(あまがえる)
体長4センチくらいの小さな蛙で、雨が降りそうになると大きな声で鳴くのでその名がついたらしい
最後に
いかがでしたか? 6月の時候の挨拶を上手に取り入れることで、手紙やメールがより 季節感あふれる温かい文章 になります。
特に俳句の季語を使ったオリジナル表現は、印象に残りやすく、他とは一味違う魅力を持っています。
「いつもと違う表現を使いたい」「気の利いた一文を加えたい」と思ったら、ぜひ参考にしてみてください。
今後、7月から12月の時候の挨拶や結びの挨拶もご紹介しますので、よろしくお願いします。
それでは、6月も心豊かにお過ごしください。
最後までお読みくださいまして有難うございます。
・1月の時候の挨拶・結びの挨拶
・2月の時候の挨拶・結びの挨拶
・3月の時候の挨拶・結びの挨拶
・4月の時候の挨拶・結びの挨拶
・5月の時候の挨拶・結びの挨拶
・7月の時候の挨拶・結びの挨拶
・8月の時候の挨拶・結びの挨拶
・9月の時候の挨拶・結びの挨拶
・10月の時候の挨拶・結びの挨拶
・11月の時候の挨拶・結びの挨拶