こんにちはユキです。
慶弔マナーはお祝いや弔いの気持ちを相手に伝える方法について表されていますが、反対にお祝いや弔いで贈り物をいただいた場合は、贈っていただいた相手に感謝の気持ちを伝えることが大事です。
郵便や配送などで贈り物を送った側は、相手に贈り物が無事に届いたのか、また無事に届いていたとしても気に入っていただけたのかなど、気になるものです。
ですので贈り物をいただいたときは、すぐにお礼状を出すことで、贈っていただいた方に安心感を与えることになります。
特にビジネスシーンにおいて、取引先からお祝いなどの贈り物をいただいた場合は、お礼状の出し方によって、取引関係の良し悪しに影響する可能性があると思います。
この記事では私が企業の秘書をしていたときの経験を基に、取引先からの贈り物に対してどのようなお礼状の文面を作り、どのように出せばよいのかをご紹介させていただきます。
文例も紹介していますので、この文例をベースにして状況に合わせて対応してください。
この記事を参考にしていただければ幸いです。
贈り物へのお礼状の文面の書き方と文例
お礼状の基本的な文章の構成
お礼状の基本的な構成は次のとおりです。
①時候の挨拶
②日頃お世話になっていることのお礼
③今回贈っていただいたことへのお礼
④今回贈っていただいたものに関連付けた感想など
⑤結び
基本的な構成を基にしまして、次のとおり例文をいくつかご紹介しながら、文面をわかりやすく説明をします。

贈り物へのお礼状の文例
文例1:地域の特産品をいただいたことへのお礼状
拝啓 〇〇の候 ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配をいただきまして厚く御礼申し上げます。
本日は御地特産の松茸を沢山ご恵贈賜りまして、誠に有難うございます。
食欲をそそる香りが部屋中に漂い、早速頂戴しますことを楽しみにしております。
何時もお心遣いをいただきまして、恐縮しております。
季節の変わり目でございますので、何卒ご自愛くださいますようお願いいたします。
取り急ぎ書中にて御礼申し上げます。
・本当は食べた感想を入れた方が良いのですが、食べてからお礼状を用意すると出すのが遅くなりますので、スピードを優先したほうが良いと思います。
食べた感想を入れるのであれば、「秋の味覚の王様を堪能させていただきました」などの文章になると思います。
・よく贈ってくださる相手には、いつもの心遣いへの感謝の気持ちも添えると良いでしょう。
文例2:創業〇〇周年へのお祝いをいただいたことへのお礼状
拝啓 〇〇の候 益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
本日は、お忙しいところわざわざお越し下さいまして誠に有り難うございます。
その際、弊社の〇〇周年を記念し、〇〇画伯の富士の絵画をご恵贈賜りまして厚く御礼申し上げます。
会社の宝としていついつまでも大切にさせて頂き、日本一の霊峰富士の吉兆にあやかり、更なる〇〇年に向けて決意を新たに致したく存じますので、今後ともご指導ご鞭撻くださいますようお願い申し上げます。
時節柄ご自愛下さいますようお祈りいたします。
略儀ながら、書中を以て取急ぎ御礼申し上げます。
敬 具
・記念品を持参された場合は、来社のお礼も入れます。
・いただいた絵画に関連付けて、次の記念の年への抱負を表します。
文例3:新店舗開店へのお祝いに胡蝶蘭をいただいたことへのお礼状
拝啓 〇〇の候 ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。
平素は一方ならぬお引立てを賜り厚く御礼申し上げます。
この度の弊社〇〇店の開店に際し、綺麗な胡蝶蘭をお贈りくださいまして誠に有難うございます。
早速店頭に飾らせていただきました。
胡蝶蘭の鉢植えのように地域に根付き、胡蝶蘭の花言葉のように周囲に幸せが飛んでくるような店舗にしたいと思いますので、今後ともご支援ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。
気候不順の折柄、くれぐれもご自愛くださいますようお願いいたします。
略儀ながら書中にて御礼申し上げます。
敬具
・贈っていただいた方は、開店のお祝いに胡蝶蘭の鉢植えを贈るのが一般的だと思ったので、胡蝶蘭を贈られたのかもしれませんが、文例のようなお礼状だと相手の方に開店に胡蝶蘭を贈る意味合いに気づいていただけて、喜んでいただけると思います。
文例4:就任への祝電をいただいたことへのお礼状
拝啓 〇〇の候 ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は一方ならぬご高配に預かりまして厚く御礼申し上げます。
この度の(役職名)就任に際し、心温まるご祝意を頂戴いたしまして誠に有難うございます。
このような重責を担いまして大変身の引き締まる思いでございますが、社業発展のために職務に精励してまいりますので、今後ともご指導くださいますようお願い申し上げます。
季節の変わり目でございますので何卒ご自愛くださいますようお願いいたします。
略儀ながら書中にて御礼申し上げます。
敬具
・祝電をいただいた場合、「祝電を頂戴いたしまして」ではなく、「ご祝意を頂戴いたしまして」にします。
祝電は「物」でご祝意は「気持ち」ですので、相手の気持ちに対しての御礼ということを前面に出した方が良いと思います。
文例5:受章へのお祝いにワインをいただいたことへのお礼状
拝啓 〇〇の候 〇〇様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
平素はご高配に預かりまして厚く御礼申し上げます。
この度ははからずも〇〇章の栄に浴しましたところ、お心入れのワインをご恵贈賜りまして誠に有難うございます。
いただきましたワインで早速家内と祝杯をあげ、改めて喜びを共にいたしました。
これもひとえに〇〇様はじめ皆様のご指導ご支援の賜ものと深く感謝申し上げます。
今後も微力ながら一層の努力を致す所存でございますので、変わらぬご厚誼をくださいますようお願い申し上げます。
早速拝眉の上御礼申し上げるべきところ、略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます。
敬具
・いただいたお祝いの品を早速食した様子を文面に入れますと、相手の方も喜ばれると思います。
・お目にかかってお礼を申し上げる方が丁寧で、手紙は失礼だという思いを入れています。
文例6:満中陰志をいただいたことへのお礼状
拝啓 〇〇様が亡くなられお寂しくなられたこととお察し申し上げます。
この度は満中陰のご法要も滞りなく相済まされ、本日はご供養のお品をお送りいただきお心遣いに恐縮しております。
お疲れが出る頃かと存じますが、どうかご自愛くださいますようお願い申し上げます。
略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます。
敬具
・一般的には粗供養へのお礼状は不要とされていますが、送られた相手に到着したという安心感を与えるので、粗供養に対してもお礼状を出したほうが良いと考えます。
・時候の挨拶や「ご清祥のこととお慶び申し上げます」などは入れないようにします。
・「有難うございます」や「御礼申し上げます」とはしないで、「お心遣いに恐縮」や「ご挨拶申し上げます」などとします。
・「いよいよ」「ますます」「重々」「くれぐれも」「わざわざ」という重ね言葉は、不幸を重ねることに通じるので使わないようにします。
・遺族への労りの言葉を入れています。

親しい相手への時候の挨拶
親しい相手には時候の挨拶は柔らかい方が良い
お礼状などの手紙の時候の挨拶は、一般的には「〇〇の候」と書き、上記の文例でも一般的な時候の挨拶にしていますが、相手によっては堅苦しいと思われる場合もあります。
親しい相手に対しては、自分なりの季節感を時候の挨拶を入れるようにするのが良いと思います。
それによって、読んでいただく方の事務的な手紙という印象が、少しでも和らぐのではないでしょうか。
親しい相手への手紙の時候挨拶の文例
定型の時候の挨拶に対して、私が書いていた時候の挨拶の例をご紹介します。
・梅花の候、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
→梅の香に春の足音を感じておりますが、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
・桜花の候、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
→桜の開花も始まり春が深くなってまいりましたが、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
・酷暑の候、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
→蝉時雨が夏の盛りを一層賑やかにしておりますが、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
・晩秋の候、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
→木々も葉を落とし冬の装いとなってまいりましたが、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
梅雨の時期には、「霖雨の候」などとしますと鬱陶しい感じになりますが、「紫陽花が雨に濡れて輝いていますが・・・」というように、鬱陶しくならないと思います。
また、冬に出す手紙の時候の挨拶では、寒々した感じを出さないようにして、「冬紅葉が冬の光を集めて輝いていますが・・・」のように明るい感じの文にすると良いでしょう。
時候の挨拶についてはこちらの記事を参考にしてください👉オリジナリティーのある時候の挨拶の例文を月ごとに8つづつ紹介します

内祝いの品を贈る場合のお礼状
お祝いなどを贈っていただいた際に、内祝いと言われる品を贈ることがあります。
内祝いとはお祝いごとがあった際、その喜びを周囲に伝え、共有するために贈られるお祝いのことです。
皆さんも友人や親戚の結婚・出産などのお祝いをした際に、「内祝」と書かれた品を贈られたことがあるかもしれませんね。
内祝いはお礼状を付けて贈ることが多いのですが、お礼状を早く送って、別便で内祝いを送るのも良いと思います。
何故お礼状と内祝いの品を別に送るのも良いかといいますと、内祝いを用意するのに時間がかかり、お礼状が先方に届くのに時間がかかることを避けるためです。
内祝いを贈るときは、お礼状の最後に「追伸」として送付の案内をすると良いでしょう。
勿論、本文の中に内祝いを送付しましたと入れても良いのですが、追伸として入れた方が奥ゆかしく感じられますし、反って目立つからです。
文面は次のような内容です。
文例1:お菓子を内祝いの品として贈る場合
追伸 なお、心ばかりの内祝いの印としまして、別便にて粗菓少々をお贈りさせていただきます。
ご笑味くださいますれば幸甚に存じ上げます。
文例2:竣工や周年などの記念品を贈る場合
追伸 尚、竣工を記念いたしまして、別便にて心ばかりの品をお送りいたしました。
ご笑納くださいますれば幸いでございます。
贈り物へのお礼状を出すときのマナー
お礼状を出すタイミング
贈り物をいただいたらできるだけ早くお礼状を出すのが、贈っていただいた方への礼儀だと思います。
あなたも誰かに贈り物を送ったときに、無事に先方に届いたのか、無事に届いたとしても送った相手が贈りものを気に入ってくれたかどうか、とても気になりますよね。
同じように、あなたやあなたの会社に贈り物を送った人も、無事届いたのか、気に入ってくれたのかを気にしていると思うのです。
ですから、できるだけ早くお礼状を送るのが良いと思います。
できれば3日以内、遅くても1週間以内です。
早く出せば先方も「こんなに早くお礼状をいただいて」と、あなたやあなたの会社に好感を持っていただけます。
もし、お礼状を出すのが遅くなったときは、「長期間不在にしており、お礼が遅くなりまして誠に申し訳ございません」など、お詫びの言葉を添えるのが大事です。
お礼状の文面で気をつけること
贈り物へのお礼状の文面に使う言葉で気を付けなければならないことは、相手の使った言葉をそのまま使わないことです。
例えば、「〇〇様のご功績を讃え」と言われてお祝いをいただいた際のお礼状に、「この度の私の功績に対しお祝いをいただき~」とは表現しないで、「皆様のご協力のお陰で微力ながら社会のお役に立てたことに対しお祝いをいただき~」などとした方が良いと思います。
相手からお祝いをいただく際の「昇進」や「栄転」という表現に対しても、お礼状には「就任」や「着任」というように言い換えます。
また、相手は贈る品に対して「心ばかりの品」とか「粗品」とか、へりくだった言い方をしますが、そのまま「心ばかりの品」や「粗品」は決して使わないようにし、「結構なお品」や「ご芳志」や「お心遣い」などの表現を使うようにします。
そんなこと当然だと仰るかもしれませんが、私が秘書をしていたときに、表書きに「粗品」と書いて贈った取引先から「この度は結構な粗品をいただきまして有難うございます」と書いたお礼状が届いたことがありました。
お礼状の体裁
パソコンを使ってのお礼状作成
お礼状はハガキにするのか、手紙にするのかどちらが良いかといいますと、やはり手紙の方が丁寧だと思います。
本来は手書きでお礼状を書くのが丁寧で良いと思いますが、手書きですと時間もかかりますし、ビジネスシーンでは受取る方もそこまで望んでおられないと思いますので、パソコンで対応して早くお礼状を出すのが良いでしょう。
パソコンで対応するメリットとして、文章をデータとして保存でき、それを何回も使いまわしができることです。
私は全てのお礼状をパソコンに保存していましたので、お陰でお礼状の文章を効率よく作成することができました。

お礼状をプリントアウトする用紙
パソコンで作成したお礼状は、B5サイズの上質な風合いのコピー紙に印刷すると体裁よく見えます。
大礼紙という名前で販売しているメーカーもありますが、冠婚葬祭の時に見られる挨拶状や封筒に使用する和紙のことです。
普通の上質紙への印刷ですと、とても失礼になりますし、便箋では印刷が難しいのですが、コピー用の和紙であれば上品で失礼にはならず、印刷も普通のコピー用紙と同様にできますので、お礼状の用紙としては最適です。
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封筒へのお礼状の入れ方
印刷しましたB5サイズの大礼紙を三つ折りにして、長形4号(90mm×205mm)の白い封筒に入れます。
大礼紙の折り方は、定規を置いて、手紙の長辺の上端を定規の0の目盛りに合わせ、下端を85mmの目盛りに合わせて折り、上端を折り目に合わせて折れば三つ折りが簡単にできます。

贈り物へのお礼状を出すことのメリット
あなたが誰かに贈り物を送った際に、お礼状が来るのと来ないのとでは、相手への印象が全く違うのではないでしょうか。
特にビジネスシーンでは、贈り物を送った取引先からお礼状がすぐに来た場合は、好印象を得られますが、お礼状が来ない場合は、こんな会社と取引していて大丈夫かなと不安を感じるかもしれません。
お礼状が来ないことが取引に影響するというのは極論かもしれませんが、お礼状を出すということは、今後の取引を円滑にするために役立つということが言えると思います。
人間関係は取引関係ですので、いただいた気持ちに対しては、感謝の気持ちを返すことが大事です。

最後に
この記事で私がお伝えしたいポイントは次のとおりです。
・いただいた贈り物に関連付けて感想を入れると印象が良くなる。
・親しい相手へのお礼状の文面の時候の挨拶は、〇〇の候というと堅苦しくなるので、自分なりの季節感を入れた時候の挨拶にするのが良いと思う。
・贈り物へのお礼状はできるだけ早く出すこと。
・お礼状で気をつけなければいけないことは、相手の言葉をそのまま引用しないこと。
・お礼状はパソコンで作成し、印刷したB5サイズの大礼紙を三つ折りにして、長型4号の封筒に入れるのがお薦め。
・お礼状を出すメリットは、今後の取引を円滑にすること。
たかがお礼状、されどお礼状です。
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