こんにちはユキです。
親しい人が亡くなったときに、故人の自宅などを訪れ弔意を表しますが、これを弔問(ちょうもん)といいます。
この記事では、弔問とは何か、どのような人が弔問に行くのか、弔問のマナーなどを、私が企業の秘書をしていた時の取引先への弔問の経験を基に、詳しくご紹介させていただきますので、参考にしていただければ幸せです。
弔問とは?
弔問とは訃報を受けて、故人の自宅を訪問して、故人の死を悼み、遺族にお悔やみの気持ちを伝えることです。
葬式に参列できずに後日、自宅を訪問することも弔問と言いますが、この記事では訃報を受けてすぐに自宅を訪れ、弔意を伝える場合の弔問についてご紹介します。
訃報を受けて弔問する範囲と目的
通夜前に弔問する人
訃報を受けてすぐに自宅を訪れる弔問は、故人の近親者や、故人と非常に親しくしていた友人や、日常的に付き合いのあった近所の人などが、通夜前の弔問をするのが一般的のようです。
ただ、通夜前は遺族が忙しくしていますので、「通夜前の弔問は控えるべきである」という考えもあるようで、故人とかなり親密でなければ、通夜や葬儀・告別式に参列するのが良いでしょう。
通夜前に弔問をする目的
家族を亡くした直後、遺族は悲しみに打ちひしがれ、これからどうすればよいのか途方にくれているものですが、そのようなときに親しい人がそばにいてくれると、心強いものだと思います。
親しい人がそばにいて、悲しみを分かち合ったり、葬式のことや、今後のことを相談することによって、遺族の気持ちも少しは和らぐのではないかと思います。
また、以前は相互扶助の意識が強く、亡くなった人の家に近所の人や職場の人が駆けつけて、弔問というよりお手伝いをしに行っていました。
しかし、現在では葬式自体を身内だけで執り行うことが多くなってきましたので、訃報が入ってすぐに喪家へ駆けつけるのは、迷惑に感じられる可能性が高くなっていると思います。
ですから、通夜前の故人の自宅への弔問は、弔問の目的から逸脱しないように気をつけることが大切だと思います。
取引先への通夜前の弔問
取引先の社長が亡くなったような場合、いくら親しい取引先であっても、通夜前の自宅への弔問は基本的には避けた方が良いと思いますが、訃報を受けてすぐの弔問は最も丁寧な弔意の表し方ですので、弔問に伺うことによって自社のプラスのアピールができるようであれば有意義だと思います。
取引先への弔問は、自社のトップが行くのが一番効果があると思いますが、急なことなのでトップが行けないことが多く、秘書が代理で弔問に伺うことがよくあります。
私も企業の秘書をしていたとき、数は少ないのですが、取引先の弔問に行ったことがありました。
その際、心がけていたことは、お手伝いを申し出るとか、遺族の皆さんで召し上がっていただけるような食べ物を持参するとか、先方にプラスになるような弔問をすることでした。
そして、悲しみのどん底にいる遺族の邪魔にならないように、さりげなくそっと弔問することが大事だと思います。
通夜前の弔問マナー
遺族にとって迷惑になりかねない通夜前の弔問では、最低限のマナーを守ることが大事だと思います。
通夜前の弔問の際の服装
通夜の前に喪服で弔問に駆けつけますと、死を予見していたように感じられ、遺族に失礼とされますので、弔問は平服で伺うのがマナーです。
通夜前の弔問は「訃報を受けてとり急ぎ駆けつけた」ということなので、地味な平服や普段着が良いようです。
とはいえ、ジーンズなどのラフな恰好や、デザインが派手な服は避けるのが良いでしょう。
私が会社の秘書をしていたときは急な弔問に備えて、常に地味なスーツを着て出勤していました。

通夜前の弔問の際に香典は持参しない
弔問の際に香典を持参するのは、死を予想していたようでご遺族が不快になり、マナー違反です。
香典は葬式への参列の際に持参するようにします。
通夜前の弔問の際の手土産・供物
弔問の際のマナーでは、手土産や供物も不要ですが、ご遺族の皆さんで召し上がっていただける食べ物を届けるのは、私はマナー違反にはならないと思っています。
家族が亡くなった直後は取紛れており、食事を用意する時間も気持ちも失せていると思います。
そのようなときに、お寿司などの差し入れがあると、どれだけ助かるかわかりません。
但し、にぎり寿司は腐り易いし、喪家に生ものを持参するのはどうかと思いますので、巻き寿司などが良いと思います。
通夜前に弔問に伺った際の作法
基本的には玄関先で失礼する
通夜前の弔問は、基本的には玄関先で遺族にお悔やみを述べ、お供え物があれば遺族に渡してそのまま失礼します。
その際に、「この度は誠にご愁傷様でございます」と形だけの挨拶でいいので、手短にお悔やみの言葉を述べて、「こちらは弊社社長〇〇からのお悔やみの品です。気持ちだけで申し訳ございませんが、お納めくださいますようお願いいたします」などと申し上げて、そっと持参した品を渡します。
また、「何かお手伝いをすることがありましたら、何なりとお申し付けください。」と申し上げます。
自宅にあがるように言われたら
もし、遺族から自宅にあがるように勧められたときだけ、線香をあげさせていただきますが、せっかく来られたのでどうぞ中に入ってください、との気遣いでご遺族の方が仰っているようであれば、丁重にお断りをして失礼していました。
線香をあげるときに、遺族から故人との対面をすすめられましたら、基本的に断らないものですが、故人のお顔を見るのが辛いときは、その旨をご遺族に伝えて引き上げます。
自分から対面をお願いするのはマナー違反です。
故人との対面をするときは次のようにします。
①枕元に正座し、両手をついて一礼をする
②遺族が白布を外したら、自分の両手を膝におき対面する
③故人に深く一礼して合掌する
④少しうしろに下がり、遺族に一礼する

お悔やみの言葉を申し上げる
自宅にあげられますと、何も喋らないわけにはいきませんので、お悔やみの言葉を申し上げます。
故人との面会をさせていただいた際には、「安らかなお顔ですね。」といった短い言葉を申し上げて、すぐに失礼します。
お悔やみの言葉もごく短く、遺族を気遣う言葉を申し上げるのが良いでしょう。
例えば次のような言葉です。
・この度は誠にご愁傷様です。心からお悔やみ申し上げます。
・急なご不幸で、お力落としのことと思います。
・このたびは思いもかけないことで、さぞお力落としのことでしょう。
なんと申し上げたらよいかわかりません。
お悔やみの言葉を申し上げた後で、死因を詳しく聴くことなどは差し控えるべきだと思います。
また、遺族に対する心遣いとして、生死に対する直接的な表現は避けるのがマナーです。
例えば次のように言い換えます。
死ぬ、死亡→「お亡くなりになる」「ご逝去」
ご生存中→「ご生前」
生きているとき→「お元気な時」
さらに故人が高齢の方でも「大往生」や「天寿を全うする」といった表現は避けた方が良いと思います。
大往生や天寿を全うするというのは主観的な言葉で、遺族はまだまだ生きて欲しかったと思っているかもしれません。
最後に
現在では葬式を身内だけで執り行うことが多くなってきましたので、訃報が入ってすぐに喪家へ駆けつける弔問は、迷惑に感じられる可能性が高くなっていると思います。
近い親戚や親しい友人などの場合はともかく、ビジネスシーンの場合は亡くなった方がとても親しくされていた取引先の社長であっても、駆けつけての弔問は難しいことだと思います。
ですから、通夜前の取引先への弔問は慎重にしなければならないと思います。
この記事でのポイントは次のとおりです。
・身内での葬儀が多くなった現在、自宅への弔問は迷惑に感じられることが多いかもしれない。
・自宅に弔問に行く場合は、相手にとってメリットになることをさりげなくする方法を考える。
通夜前の弔問は、遺族の気持ちに最大限配慮しないとできるものではありません。
弔問によって、遺族の悲しみが少しでも癒されるよう、心に寄り添ってさしあげたいものです。