こんにちはユキです。
葬儀で故人と生前親しかった人が弔辞を述べられることがあります。
特にビジネスシーンでは、取引先の葬儀で会社の社長や会長が弔辞を述べることがよくあります。
あなたが会社で秘書をしておられ、上司が取引先の葬儀で弔辞を頼まれたときに、秘書としてどのようなアシストをしますか?
この記事では、私が企業の秘書をしていたときに、上司が取引先から弔辞を頼まれた際に、弔辞作成のためにどのようなアシストをしていたかを紹介させていただきます。
参考にしていただければ幸いです。
弔辞とは
弔辞とは、「死者を弔うことば。弔詞。」という意味です。
亡くなった人と生前親しくしていた人が、悲しみや悼む気持ちを表し、故人に述べるお別れの言葉です。
通夜ではなく、葬儀の際に故人の遺影に向かって語り掛けられます。
弔辞を述べる人数は、多ければ5人ほど、少なければ1人のときもありますが、私が参列した葬式では、3人くらいが多かったと思います。
弔辞が述べられない葬儀もよくあります。
上司が取引先の葬儀で弔辞を頼まれたら秘書は何をする?
取引先などの葬儀で、上司である社長や会長に弔辞の依頼がきた時に、私が秘書として何をしていたのかを列挙しますと次のとおりです。
①葬式の概要の確認
②弔辞を引受けるかどうかを上司と相談
ー引受ける場合ー
③弔辞作成のための情報収集
④弔辞文作成のためのアシスト
⑤弔辞の筆耕依頼
これらのことをどのようにしていたかを、具体的に紹介させていただきます。

葬儀の概要の確認
取引先などから弔辞の依頼が上司にあった時に、まず先方に葬儀の概要を聴きます。
聴く内容は、
・葬儀の日時
・葬儀の場所
・何故我が社のトップに依頼されたか(故人の遺志、取引関係の深さ など)
・喪主の名前と故人との続柄
・葬儀委員長の名前とその方の立場
などです。
その際、亡くなられた時の様子を聴くことも、上司への報告の時に役立っています。
例えば入退院を繰り返していたとか、亡くなる直前まで元気だったのに突然具合が悪くなったとかです。
弔辞を引受けるかどうかを上司と相談
次に葬儀の内容を基にして、弔辞の依頼を受けるのかどうかを、弔辞の依頼があった上司と相談します。
まず、上司が弔辞を述べる意思があるかどうかを確認します。
今までのつながりが深い場合や、引受けることのメリットがある場合は、上司から引受けるという答えを即答でいただけるのですが、どうしようかと悩んでいる場合は、依頼された理由や、葬儀委員長が誰かということが判断材料になることがあります。
例えば故人が生前から弔辞を我が社のトップに読んでもらいたいと懇願していたということであれば、無下に断れないということになるかもしれません。
また、依頼先とあまり関わりがなくても、葬儀委員長が我が社にとって重要な人物であれば、この時も無下に断れないということになります。
上司から断って欲しいと言われた場合は、差し障りのない断る理由を上司と相談をして、先方に伝えるようにしていました。
その際、葬式に向けて弔電を打ったり、供花をしたりの対応をしていました。
上司から引受けるとの返事をもらったら、葬儀の日時に上司が葬儀に参列できるかどうかを確認します。
葬儀の日時に予定が入っていない場合は問題ないのですが、他の予定が入っている場合は、その予定の重要さと葬儀に参列して弔辞を述べることの重要さを天秤にかけます。
弔辞を述べる方が大事である場合は、元の予定を断ったりしますが、どちらも甲乙つけ難い時は、スケジュール調整に苦労しており、両方こなせるようにサスペンスドラマさながらに移動方法をトリッキーに考えたりすることもありましたが、それでも調整できない場合は、どちらかに代理を立てたり、何らかの方法で双方顔が立つようにしていました。
弔辞作成のための情報収集
上司が弔辞を引受けることになると、次に弔辞文を作成しますが、その前にその文章を作るための情報収集をします。
聴く相手は、遺族や会社の方が多いのですが、故人の友人や自社で故人のことをよく知っている社員に聴くこともありました。
情報収集は、自社で先方の会社の担当をしている社員にお願いすることが多いのですが、時には上司自身が遺族などから直接聴くケースもありました。
また、上司に代わって秘書が聴くこともありました。
聴く内容は次のようなことです。
・故人の経歴
-生年月日
-生まれた場所
-学歴
-職歴 など
・故人の業績
-受賞(受章)歴
-会社や業界や地域への具体的な貢献事項
・故人の趣味や家族などプライベートな話題
・亡くなるときの様子
・弔辞に織り込んで欲しいこと
など
弔辞を通じて故人がどんな人であったかをアピールされますので、遺族が参列者に特にアピールして欲しいと思っていることがあると思います。
遺族が弔辞に織り込んで欲しいと思っていることを特に重点に置いて聴いてもらったり、聴いたりしていました。

弔辞文作成のためのアシスト
弔辞文は誰が作るのか
次に情報収集した内容を基にして、弔辞の文章を作ります。
私は文才がありませんので、例えば広報担当など社内で文章を作成する専門の人に頼んでいました。
皆さんの会社でもそのような人がきっとおられると思いますので、自分がやらなければならないと思わずに、人の力を借りるようにすればいいと思います。
情報収集したものを文章作成してもらう社員に渡し、その後上司から直接その社員に弔辞への思いを伝えてもらっており、その橋渡しを私がしていました。
そして仕上がった原稿をまず秘書である私が読み、誤字脱字がないか、上司の気持ちが的確に盛り込まれているかなどをチェックしたうえで、上司に渡して確認をしてもらっていました。
上司からOKをもらえれば次工程に進めますが、ダメ出しがあると文章作成をした人に書き換えてもらったり、再び上司からの話を聴いてもらって書き換えてもらったりして、それをOKが出るまで繰り返していました。
弔辞の長さ
弔辞の長さはだいたい3分間前後を目標にして、5分間までくらいが良いそうです。
最初から3分間や5分間を意識しますと、そちらの方に気がとられますので、長さを気にせずにまず作成してもらいます。
だいたいの場合、最初に作った原稿は長くなってしまいますので、最終的には余計な部分を除いて、3分間前後~5分程度にします。
弔辞の構成
弔辞の構成は多くの場合次のようになっていました。
1.序文:故人に哀悼の意を表し、故人と自分との関係を申し上げる
2.前文:亡くなられた悲しみを申し上げる
3.故人の紹介:経歴などを申し上げる
4.故人を称える:功績や人柄を具体的に申し上げて称える
5.決意を表する:故人に感謝し、偉業や教えを引継ぐことの決意を申し上げる
6.遺族への慰めと励まし:ご遺族がこれから前向きになれるよう思いやりの気持ちを申し上げる
7.後文:故人のご冥福の祈る
私が参列した葬儀で聞いた弔辞もこのようなパターンが多いのですが、中には故人とのある日の思い出に絞り、そのときのエピソードを紹介することで、故人の人柄や、故人と読み手の関係がよくわかるという弔辞もありました。
私は個人的にはこのような弔辞のほうが好きです。
人は人生の内で周りの人から褒められることが2回ある。それは結婚式と葬式の時だ。ということを上司から聞いたことがあります。
ですから葬儀の時に読まれる弔辞は、故人がこの世に生を受けて、いかに貢献したのかを褒めちぎる文章にするのが無難だと思いますが、故人の失敗談を交えた弔辞も、かえって故人の人柄が引き上げられ、いい弔辞だなと思うものもあります。
弔辞で使ってはいけない言葉
弔意を表すときに、「くれぐれ」「返す返すも」「重ね重ね」などの重ね言葉は、不幸が重なるということで使わないのがマナーだそうです。
このようなことも、弔辞の文章作成のアシストをする際に気をつけていました。

弔辞の筆耕依頼
上司から弔辞原稿のOKサインが出ましたらそれを清書します。
読むための原稿なのに、なぜ清書するかといいますと、葬儀で弔辞を読み終わったあとに、それを祭壇に捧げるからです。
私はそれを筆耕の専門業者に頼んでいました。
奉書紙か巻紙に墨で丁寧に書いていただくのですが、紙も墨も筆耕屋さんが用意していますので、こちらからは弔辞の原稿を渡すだけです。
弔辞を書いた紙を奉書紙で包みます。
これも筆耕屋さんがやってくれます。
清書された弔辞を秘書が二人でチェックします。
一人が原稿を読み、もう一人が清書された弔辞を見て書き間違いがないかどうかをチェックします。
書き間違いがあったときは筆耕屋さんに書き直してもらいますが、一字くらいの訂正の場合はこちらで同じような質の紙に書いて、それを間違った部分に糊で貼り付けていました。
筆耕の費用は弔辞の長さによって違いますが、今までお願いしたもので2万円ほどでした。
弔辞は最終的には故人の霊前に捧げますので、筆耕の専門家に綺麗で丁寧な字で書いていただくのがいいと思うのですが、筆耕していただくのに早くても2日ほどかかり、その前に原稿を作りますので、ほとんどの場合、弔辞を頼まれて葬儀まで綱渡り状態になります。
また、費用も結構かかりますので、私は場合によってはパソコンで作成してもいいのではないかと思っています。
最近はパソコンで弔辞に合うような字体で印字することもできますので、弔辞の筆耕もパソコンでするケースが増えてくるのではないかと思っています。
最後に
以前受講した自己啓発セミナーで、あなた自身の弔辞を書いてくださいという課題を与えられました。
その課題の意図は、自分の理想の人生がどういうものかを知ることでした。
葬儀で弔辞を読まれる人は、それなりに理想の人生を歩んだのではないかと思います。
ですから、故人の人生で故人が満足しているであろうと思われることを弔辞で申し上げるのが、故人への一番の供養だと秘書業務を通じて感じていました。
自分が関わって作られた弔辞が心に響くものであると、少しでも役に立ててよかったと思います。
皆さんも上司が弔辞を頼まれた時に、少しでも作成に関わり、感銘を受ける喜びを感じてもらえればと思います。
尚、この記事では秘書としての立場で弔辞への関わり方を紹介しましたが、プライベートの立場で弔辞を頼まれた場合には、次の記事が役に立ちますので参考にしてください。
出典:ライフフォワード株式会社「みんなが選んだ終活」より